松本保美

古代の日本人は、時間を、毎年めぐって来る時間と二度と戻らない時間の2つに分けていた (石田 1988)。 前者は神に属し、春耕から秋耕までと秋耕から春耕までの2つの期間からなる。この時間の意識は、農耕によって規定された特定の場所と空間の中で生じた特別で具体的な経験に依存している。 後者は過去から未来に直接流れる人間の時間である。それは、言い換えると、歴史的時間であり、同時に、1つの部族社会内での経験がいくつもの世代に受け継がれていく具体的な時間である。